昔、『一角獣の虜』という話を書きました。
イニス・グレーネとイニス・ファールという対立するふたつの小国。絶対に勝てると思われた戦で負けたイニス・グレーネは、世継ぎの姫をイニス・ファールに嫁がせることになる…という、乱暴に要約すればそういう話ですが、婚礼の夜で終わってます。
エンドマークをつけたものの誰もが不幸になったままだったので、すごくあとをひいていて、その後何度かつづきを書こうとしました。けれど、しっくりこなくて何度も挫折しています。
その、挫折した何度めかのバージョンの冒頭部分を独立させてみたのが、この「記念日」です。
この中で幻の守護者といわれているラガルデは、別のバージョンではレーヴェンイェルムの殿の左肩にとまっています。レジオンは存在しないものもあるし、そのバージョンではアマリアの世話係は弟のラウルでした。
というわけで、あまりにも錯綜しパラレルワールド化していった設定が自分でも把握できなくなり、というか選べなくなり、どうしたらいいのかわからなくなって、この話は放置されたのでした。
題名についてはよいものが思いつかず、いい加減に冒頭のところからとってみました。なにかほかにいい題があったら提案してくださいまし。もし、お気に召していただければ幸いです。（2000.8.18）