妖魔の島・あとがき



 大変長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。『妖魔の島』、いかがでしたでしょうか。
 この話は、それまでまったくジャンルを意識することなく、思いついたものをそのままに綴っていただけだった私が、自分の感じる「異世界ファンタジー小説」を実現しようとして書き始めたものでした。
 私のファンタジー像は、多分に高校時代の読書に影響されてできあがったものです。高校生の私にとってファンタジーとは、マキリップであり、トールキンであり、リーであり、中山星香であり、あしべゆうほであり、ル・グィンであり、アイゼンシュタインでした。光と闇であり、魂の飛翔であり、かがやく調べであり、仙境の黄昏であり、名前の神秘でもありました。
 むかしの読書体験を思い出しながら、ワンシーンごとに自分のなかのファンタジーの原風景を探っているような、そんな緊張感と興奮をあじわいつつ推敲していきました。
 楽しんでいただければ、さいわいです。

 ところで、連載開始前に「まえがき」に記しましたが、大昔の手書き原稿は予想以上に難物でした。精霊をてなづける(?)エスカとほぼ同等の苦労と苦しみを味わいつつ、幾度過去の自分に罵詈雑言を浴びせたことか。なんとかまともな日本語の文章にするための努力は、すこしは報われましたでしょうか。いや、ほんとうにひどい文章だったので、数倍読みやすくなってはいるはずなのですが。大学ノートに書かれた粗雑な第一稿を、一冊書き終えるたびに読んでくださっていたK様には、お礼(含お詫び)の言葉もありません。どうもありがとうございました。

 『妖魔の島』は、これでおしまいですが、シアとエスカ、ふたりの旅はまだつづいています。興味をもってくださいましたら、ひきつづき『海人の都』でお楽しみください。

2003.2.7 ゆめのみなと 拝


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