熱い風に肌をなでられて、シアは目をさました。
熱いのは、風ばかりではなかった。
からだの下が灼けつくようなのに気づいて、シアは寝がえりをうった。さらに熱い地面が肌にふれて、ぼんやりしたままだった意識がとつぜん鮮明になった。
シアがよこたわっているのは、太陽に灼かれた砂浜だった。あたりを見まわそうとすると、つよい陽射しが眼を眩ませる。
嵐はどこかへ行ってしまったらしい。空はぬけるように青く、雲ひとつなかった。
上半身を起こして、彼女は両腕を砂地についた。からだがおもくて、それだけのことをするのもらくではなかった。嵐のせいで、からだじゅうの力が吸いとられてしまったのだ。
シアは深いため息をついて、潮がひいているらしい砂浜をながめた。
それでも、生きていた。
太陽のまぶしさも、砂の熱さも、彼女が生きているあかしだった。
シアはうちよせる波のおだやかな繰りかえしをぼんやりと聞いて、しばらくのあいだ、じっとうごかずにいた。
そのうち、灼かれた肌のひりひりとする痛みが、ふいに彼女を現実にひき戻した。
見ると、腕は火ぶくれのできる寸前にまであかくなっている。掌で頬に触れると、痛みと熱があった。編んであったはずの髪がほどけて、毛の先が皮膚にかかり、ちりちりと痛い。
乾いてがさがさになったくちびるをなめて、シアは周囲を見まわした。
そこで彼女は日陰よりももっと重要なものの存在が見あたらないことに気づいた。
ぎしぎしと悲鳴をあげるからだを無理に起こして、シアはあかるい砂浜をもういちどながめわたした。
砂と海藻、貝、魚、木ぎれ。そのほか、こまごましたものが嵐によってたくさんうちあげられてきていたが、金の髪をしたきゃしゃな少年の姿はなかった。
そして、かれの言うことしかきかないと宣言する精霊も。
シアは、気を失う前のことを思い出そうとした。